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最後の異世界物語ー剣の姫と雷の英雄ー  作者: 天沢壱成
ー独姫愁讐篇ー
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『一章』間話 雷の足音

 

 ハル・ジークヴルム。

 雷の真六属性アラ・セスタ


 彼の存在が囁かれ始めたのは真暦一五九六年、とある事件がキッカケ。その事件の詳細は今はまだ語るべきではないため省略するが、ともあれそれが彼の始まりだった。

 

 世界の運命が産声を上げた瞬間だったと言ってもいい。きっとあの瞬間、あの時間を中心に世界は廻り始め、物語のページはめくれていった。


 そもそも真六属性アラ・セスタとは何なのか。

 これは誰もが知る『薨魔の祭礼』において全ての悪意の頂点〈魔神〉を追放した伝説の六柱、〈光是の六柱〉が扱った神の魔法。唯一無二の絶対魔法を使う魔導士。全ての属性魔法はここから生まれたとされている。


 そんな彼らを、人々は夢想し、絵本の中の英雄として語り合い、時代に繋げていった。

 

 だから真六属性アラ・セスタなんていう存在は信じられていなかった。


 神の力を扱う人間など、想像もつかないし何より、『薨魔の祭礼』が本当だとしたら神の力を持つ真六属性アラ・セスタは恐怖の対象でしかない。

 

 例え世界を救った英雄の力だろうとも、神の力というだけで恐怖を抱くには十分。


 故にその恐怖を夢想に、夢幻に変えて、酒の肴にしかなり得ない話だった。


 それを崩したのが「彼」だった。


 当時は誰も彼も動揺し、信じられないと顔に書いてある様子で日々を生活していた。


 だが時が経つにつれて英雄の名は大陸に知れ渡り、軽いおふざけ気分で話していた酒の肴は劇的に感動や興奮のソレに変わり、人々を熱くさせた。


 何より、最も「彼」を有名にさせたのは。

 真暦一五九八年。


 第S級指定罪人。

 識別名・神魔エリスの討伐。


 王国が、アレス騎士団が総力を挙げても打ち倒せずに手を焼いていた■を、彼が倒したことで人々は喜び、そして熱狂した。


 ーーまるで正義のヒーローのようだと。


 悪い神様を、罪人をやっつけて、みんなを守ってくれる英雄なんだよ、と幾人の母親が我が子に伝え、勇気をもらう存在となった。


 それは今まで、夢幻のようで誰にも信じられていなかったのかもしれない。

 ただの伝説だと。

 ただの物語だと。

 だがここに、前提は崩壊する。

 「存在しないヒーロー」から「存在するヒーロー」へと進化する。


 ヒーローとは、涙を優しく拭う者。

 ヒーローとは、たった一人のために世界を敵に回せる者。

 

 ならば。

 泣いている女の子のために戦うのは当然。

 拳を握らないとは言わせない。


 雷神アーサソール

 ハル・ジークヴルム。


 ここから先は、彼の雷が席巻する。

 

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