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序章 ミコトのノート②

 膨大な犠牲の上に、黎明期の魔奏師であるシカタという人物が、「魔奏斑(まそうはん)の魔核」を発見します。

 

 シカタが発見した「魔奏斑の魔核」は、生物に魔素の利用を可能にする魔奏斑を生成する魔核です。

 魔奏斑は魔核であると同時に、人間の器官でもあります。みなさんの体にもさまざまな形の魔奏斑が見えますね。


 かくして、「魔奏斑の魔核」の発見者であるシカタと、実験体として魔奏斑の発現を得た女奴隷のマナハ、そして時の権力者であったコウラ王とその子息が、人類初の魔奏斑を手にすることとなリました。


 魔奏班を得た人間は、鍛錬を重ねることによって、神経伝達を通して魔奏斑に働きかけができるようになりました。人間はついに、魔素のエネルギーと物質を変化させる性質を、ある程度まで制御できるようになったのです。


 さて、大変不思議なことに、魔奏斑は他の魔核に見られない特殊な性質を持っています。

 

 まず、魔奏斑は親から子へと遺伝します。みなさんの魔奏斑も、ご両親から譲り受けたものです。


 次に、魔奏斑の性能は個体ごとに異なリます。

 知力や運動神経にも個人差があるように、魔奏師の世界にも、熱や電気といった生体エネルギーの扱いに優れた者がいれば、骨格や筋力といった物質のコントロールに秀でた者もいます。


 コウガはそのような中にあって、全身をめぐる一際大きな魔奏斑により、広範な魔素の扱いを可能とする天才的な魔奏師でした。


 詳しい説明は別の機会に譲りますが、魔奏の基本である「四式(ししき)」の確立も若き日のコウガによる偉業です。


 四式、すなわち


 人体の筋力や五感を強化する「(かく)


 魔素を通じて他の生物に干渉する「(かつ)


 熱や電磁気といった生体エネルギーを操る「(はつ)


 魔核の皮膜で魔素を覆うことにより、体外での魔素の使役を可能にする「(しょう)


 これら覚活發象(かっかつはっしょう)の理論によって、魔奏はさらにその地平を開いていくことになります。

 こうした魔奏の発展は、やがて大陸最恐の捕食生物である黒蟲の討伐をも可能にしました。


 黒蟲は魔素の多い地帯に巣喰い、他の生物の魔素を餌とする恐ろしい生き物です。

 頭部にある一対の触覚で魔素を検知し、発達した大顎で獲物を捉えるのです。


 相貌はムカデに酷似しており、体長は四十センチ程度の小型のものから、十メートルを超える巨大なものまで存在します。

 また、漆黒の魔核でできた硬質な外殻に覆われ、体内に「黒蟲の魔核」と呼ばれる黒い魔核を保有しています。この魔核を破壊することで、黒蟲を死に至らしめることができます。


 黒蟲の外殻は、打撃や斬撃などには極めて強い特徴があります。

 ですが、たくさんの魔奏師の犠牲の上に、四式の發によって自身の体内で発生する電磁気を増幅し、可視光の波長として照射することで分解できることが分かりました。

 ※メモ この内容は専門的すぎるので割愛した方が良いかもしれない。


 ゆえに魔奏師は、四式の象で練り上げた、龍のように太く長い魔素の綱で黒蟲を締め上げ、さらに發による光の照射を浴びせる黒蟲殺しの魔奏術、「龍閃(りゅうせん)」を編み出しました。


 十三年前に僕たちの街を襲った大きな黒蟲を倒したのも、この術です。

続く

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― 新着の感想 ―
[良い点] 歴史を紐解きながら物語を進める形式は読む側としては新鮮で面白いと思います。 また、最初の設定を活かして戦闘面での魔奏班の分類分けは色々と話の可能性が広がるものだと感じました。   [気にな…
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