表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【3巻発売中】私の推しは魔王パパ  作者: 夏まつり@「私の推しは魔王パパ」発売中
1章 魔王は魔界を手に……入れたくない
19/227

01-05 狩りになんか行かない(4)


 お腹が一杯になると眠くなるのは人間も魔族も同じらしい。ソファーで本を読んでいたらいつの間にか眠ってしまっていたようで、目を開けるともう窓の外は暗くなっていた。二時くらいまでは読書をしていたはずだけれど、もう六時を過ぎている。あと一時間もすれば夕食の時間だ。


 固まった体を伸びでほぐし、廊下に視線を向ける。寝すぎてしまったので散歩くらいしないと夜に眠れなくなりそうだ。どこに行こうかなあと考えながら廊下を歩いていたら、ザークシードに呼び止められた。


「これはディアドラ様。ザムドはこちらに来ておりませんか?」


「ザムドなら狩りに誘いに来たけど、断ったら帰ったよ。ザムドがどうかした?」


「帰りが遅いのでこちらかと思ったのですが……」


 今日の狩りは諦めてくれたんだと勝手に思っていたけれど、一人で狩りに行ってしまったんだろうか? 首を傾げてみたところでわかるわけもない。


「まあ、そろそろ帰ってくるんじゃない? 一人で狩りに行ったとしても、ザムドなら平気でしょ?」


 なにせ未来のナンバーツーだ。当然肯定が返ってくると思ったのに、ザークシードはご冗談をと大口を開けて笑った。


(せがれ)を評価いただいているようで、親としては嬉しい限りですが……倅に一人で魔獣を狩る力などありませんよ」


「え!? そうなの!?」


 狩りの記憶は怖いのであまり思い返さないようにしていたけれど、そう言われてみると、いつもザムドが炎魔法で追い立ててディアドラが狩っていた。ザムドの魔力では一撃で狩れないので、結果的にディアドラが仕留めているだけだとしたら? ザークシードの今の話からすると、私の予想は当たっているんだろう。


 さぁっと血の気が引いていった。


「どうしよう、私、狩りがしたければ一人で行けばって言っちゃった……」


「む……?」


 ザークシードは一瞬真顔になったが、すぐに笑って私の背中を強く叩いた。


「まあ、丈夫なのが取り柄の奴です、大丈夫でしょう。我々が探しに行きますので、ディアドラ様はお部屋でお待ちください」


 くれぐれも一人で探しに行かないようにと言い置いてから、ザークシードは早足で去って行く。配下の魔族とザムドを探しに行くんだろう。


 夜は昼よりも強力な魔獣が徘徊するから、夜は出歩かないようにとディアドラも言われている。ただ、ディアドラがその言いつけを守っているように見えるのは、ただ暗すぎてよく見えないからつまらないというだけだ。


 窓の外に目を向ける。話している間にも外の暗さは増し、すっかり夜の冷たい空気が満ちていた。窓から見える夜の森はただの闇にしか見えなくて怖い。けれど、私の言葉のせいで小さな子が森に行ってしまったのだとしたら、と考えるといても立ってもいられなかった。


 窓を開けて背中の羽に魔力を込める。ふわと体が浮くのを感じ、私は窓の外に飛び出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ