便利な”か行”が揃ってる
それぞれに価値観はあるものだ。
これまで思ってきた事を形にしたい。
自分が求めて行く事は必ずあるものだ。
妥協を捨てるには、希望の度合いを測らなければならない。
「”結婚”に求めるものは」
村木望月は、現在。男を厳選中。
「”金”、”顔”、”家事”!!とりあえず、この3つはやっていて欲しいわね」
「お前、何してんねん。”子育て”も夫に任せてるだろ、それ」
まだ彼氏ができてない。あるいは結婚に踏み切れていない。
そんな女性達による、駄弁る飲み会に参加している村木達。
「纏めて”環境”と言えばいいじゃない、村木」
「清金。あんた、彼氏の1人もいないのに偉そうね。合コンに誘われてるのに、余裕な顔して断って。まずはアタックしなきゃ、今時の男は来ないのよ」
「そーまでするほど、男に飢えない。あんな軟弱生物……」
ボロクソに言っている清金。一方で彼氏と仲良くなっている灯は、
「男の大半が女に求めるのって、”金”、”身体”、”家事”ってもんよ。まぁー、私と藤砂(彼氏)は、そーいうもんじゃなく、フレンドリーな愛っていうか」
「ノロケ話ムカつく!お前等はカップルじゃなくて、”強敵”同士で仲が良いだけでしょ!それで2人で組み手して汗流してから、ラブホまで行ってまた別の汗を流してるだけでしょ!!」
「”喧嘩”するほど仲が良いという話もあるがな」
ゴクゴクゴクとビールを一気飲みして村木は、
「あーあ。あんた達って参考にならない!!もっと、男を貪欲に選びなさいよ!金持ち!、イケメン!、家庭的な事も行う!!……あとついでに、親の”介護”、”戸建”て!これは新築じゃなくて中古でもいいけど、駅前やスーパーに近いと良いわね!」
「無理矢理過ぎるわ。飲み過ぎるなよ」
「五月蝿い、パピィ!!”車”欲しいし、”子供”と私に理解があって、”計画”的な人生設計をしている。そんな男がどーして現れないのよ!なんで、私の財布になるだけの男しか来ないのよ!」
うわーーーんって、最近の男との付き合いに泣き出し始める村木。
あれこれと男を漁っているが
「お前は妥協しろ。私はあまり彼に求めてないし、彼も私のことを強く思ってないぞ」
パピィ・ポピンズはこの中でも目立つくらいの大きな身体を持った、黒人の外国人。(いちお、日本育ち)。飲み会に来ているメンバーの中では容姿に自信なし。
だから、妥協することを勧めたが。
「うるせぇーー、パピィ!!お前の彼氏、金持ちじゃねぇーか!!彼氏が金持ちじゃなかったら、付き合ってましたかーー?ねぇーねぇー」
「逆に言うが、私はしっかり働いてるし。村木と違って、計画性があって、家事もするし、働きもする。収入が不安定な彼氏を支えるために、収入が安定した女をしているだけだ。そーいうところを彼氏は自分と釣り合うと感じたと思うな」
「うぜぇぇ!凄くうざい!!」
真っ当な事を言ったつもりなんだがなって、パピィは思っている。
「ただ叫びたいだけじゃん。あんた」
「うがーーー!!だから、灯にそれ言われるとムカつく!!」
「村木。少しは金持ちで完璧な架空男性の気持ちを考えてみたら?私だったらあんたとは縁切りするわ。なにができるのやら……」
「なにを清金!!さっきからーー!!」
「頻繁に家庭トラブル起こしそうなのよ」
◇ ◇
村木達がギャーギャー騒いでいると、周囲のお客様達に迷惑がいくものだが。若さのある女性陣のやりとりを見てれば、男達はちょっと談義する。
「なーなー、あそこの大学生の子達の中で誰がいい?」
「あー。そりゃあ、一番左の子だろう。性格キツそうだけど、支えてくれそうな(清金)。可愛いし。内助の功って感じになりそう。レベル高すぎ」
「細目の金髪姉ちゃんもいいな(灯)。絶対、話し聞いてくれるタイプ。見た目はあのくらいでいいんだよ」
「家事とかしてくれるなら、あの外人さんもいいかもな(パピィ)」
そして、飲み会で一番騒いでいる村木については
「あれ絶対不倫とか借金とか、人間関係を掻き乱すタイプの女だよなぁ」
「可愛くても地雷女に一生を捧げたくねぇーわ」
「年取る度に見かけなんか、錆びていくもんだからな」
あーいう女に騙されない男になろう。