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恥ずかしい通り名

 一時間目の休み時間。美涼から手渡されていたサンドイッチを食べていると――、


「ちょっと、永遠」


 勅使河原が俺の席までやってくる。


「あんた……このまんまじゃ、本当に進級やばいんだから、今度の期末はちゃんと出席しなさいよ?」

「ああ、わかってるって」


「……それと、岩山田になにかされたら、あたしに言いなさいよ?」

「ああ、大丈夫だって」


 気楽に答える俺に、勅使河原は呆れたような顔になる。


「心配してあげてるんだからさ……少しは気をつけなさいよ。あんた、標的にされてそうだから」


 今も岩山田の席に取り巻きが集まって大声で馬鹿話をしている。そして、時折、俺と勅使河原のほうを見て、また笑い声を上げる。まったく、下品な奴らだ。


「ま、心配には及ばないさ。それよりも、勅使河原も気をつけたほうがいいぞ? あのゴリラ、お前のこと変な目で見てるからさ」

「……わかってるわよ。本当、気持ち悪い。あたしがホームルーム長じゃなかったら、とっくにぶちのめしてる」


 ホームルーム長となるとクラスの代表として模範的な生徒を演じなくてはいけなくなってしまうので、窮屈そうだ。本来、勅使河原は優等生というだけじゃない。


「通り名は、雷撃の戦乙女だったっけか……? 役職がつくと窮屈そうだな」

「もうっ、その呼び方はやめなさいよ! 誰がつけたかしらないけど、恥ずかしいんだから」


 悪いな、俺だ。


 勅使河原の得意な魔法は雷系。そして、剣術も卓越している。まさに攻撃力に優れた理想の魔法剣士なのだ。


「まぁ、忠告は感謝するよ。ただ、俺は大丈夫だから心配しないでいい」


 俺の作り出した世界で、俺が負けるはずがない。最初の美涼の言動こそ違和感はあったが、その後の教室での展開は、まったく俺の書いた筋書き通りなのだから。


「……あんたのその自信、どこから来るの?」

「それは企業秘密だな」


 そう言う俺を、勅使河原は変な顔で見ていた。


「……まぁ……でも、ほんと、永遠が出席するなんて夢みたい……ねぇ、あんた、本当に、永遠なんでしょ?」

「なんだそりゃ、俺が出席するのがそんなに珍しいか」


「当たり前でしょ! ……ずっと待ってたんだから」


「……? 待ってた?」


 あれ? そんな台詞あったっけか、ここで……。


「……が、学級委員長として不登校の生徒が出席するのを待ってるのは当たり前でしょ!べ、別にそれ以上の意味はないんだから!」


 勅使河原は顔を赤くすると、自分の席へ戻っていってしまった。


 本当に、なんだいったい? こんな展開はなかった気もするが……。

 まぁ、俺が忘れているだけかな……?


 ちょっと引っかかるところもあったが、俺はそのままサンドイッチを平らげた。

 新たな発見としては、死後(創作)の世界でもちゃんと腹が減るということだ。


 

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