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末っ子ぶち猫の歌
ひとりぼっちの猫殺し
猫の一家を一網打尽
気まぐれ起こして末っ子逃がす
猫の末っ子すたこらさっさ
家族を残してすたこらさっさ
末っ子名なしの痩せっぽち
かわいさ皆無のガリガリぶち猫
ゴミ箱あさって煙たがられ
猫好き威して煙たがられ
ひとりぼっちで野を越え山越え
人間嫌ってすたこらさっさ
気づけば年月過ぎ果てて
末っ子故郷に舞い戻る
ぶち猫すっかり性根が腐って
まるでどこかの誰かさん
裏路地こそこそ這いずりまわると
あれなつかしや
ひとりぼっちの猫殺し
ぶち猫見つめて言うことにゃ
おまえはおいらとそっくりだ
誰とも群れず
親しまず
この世が嫌いでしかたない
あのとき逃がして正解だった
おいらと寝床で温もろう
ぶち猫それ聞き大笑い
いまや仇は隙だらけ
喉笛狙って噛みちぎる
末っ子ぶち猫仇討ち完了
今日も今日とてひとりさまよう