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綺麗な顔

 とても綺麗な顔ですね

 と

 死化粧師が満足げにつぶやいた

 嘘だ

 嘘だ

 嘘だ

 どこが綺麗だ

 死のどこが綺麗だ

 言ってみろ

 もう一度言ってみろ

 死のどこが綺麗だ

 いいやぼくが間違えてた

 なんて綺麗な顔だろう

 死はなんて綺麗なのだろう

 そうだ

 死は綺麗なんだ

 命の停止したその表情

 ビー玉のようにうつろなまなこ

 力の抜けただらしない口許

 なんて綺麗なのだろう

 これからはぼくも

 こんな表情で生きていきたい

 日々を死体のようにやり過ごしたい

 死を忘れずに

 死を無視せずに

 死を厭わずに

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