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義務的な読書
義務的な読書
あまり自分には合わなそうなのに
名作だという評価の妥当性を自分で確かめるため
ただそれだけのために
途中で読むのをやめる踏ん切りがつかない
シモーヌ・ヴェイユが書いていた
どれほどの星辰の明るさや海の波音や夜明け前の静けさが
人間の注意に留まらず虚しくやってきたことだろう
世界の美に注意を払わずにいることは
不幸の懲罰に値するほど大きな忘恩の罪であろう
それはかなり極端な意見だとも思うけど
わたしはたびたびこころが挫けて
作品を味わうなんて無意味だ、なにも読んだり見たりする必要なんてないじゃないか、と
そんな無気力に陥るけれど
美に注意を払わないのは罪だ、というヴェイユの言葉を思い出すと
これまでわたしを助けてくれた作品たちが偲ばれて
義務でも、確認のためでも、無意味でも
新たな美を見出だすためにそれをやるなら
やれるだけやってみようじゃないかと
不思議と前向きな気持ちになれる
義務的な読書
義務的に生きるように
それでもたまには
報われる




