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普通、という規範
普通、という規範は
だれに対しても牙をむく
だれが普通であり得たか
普通からずれずに生きられたか
他人のことを、普通の人だ、と思うとき
その人を理解しているといえるだろうか
でも、こんなことは虚しい
そんな厳密さを、だれも普通という語に求めていない
表面的に、大雑把に、普通であるなら普通なのだ
それで十分としかいいようがないのだ
そこから外れた方が悪いのだ
表面的に、大雑把に
普通といわれる強固なイメージが
どれだけおそろしいものか
ずれてしまった者は
生涯おびえつづける