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暗い想いは別腹
自分の人生なんて、なかった方がよかった
そういう想いは
いちど生まれると、消えることはない
それを打ち消すような根拠はいくらでもあるし
それを打ち消すような幸福な思い出はいくらでもある
だが、それとこれとは別な話だ
甘いものは別腹、というようなものだ
幸福をいくら重ねても
暗さの円環が乱されることはない
わたしは幸せに生きて、幸せに死にたい
だが、それはそれとして
生まれない方がよかった、という想いも
最後まで棄てたくない
わたしの魂がそれを拒むから