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自動販売機

 自動販売機に行列ができているので

 そんなにおいしい商品があるのかと

 いそいそと並んでみた

 買い終えた人たちはみな

 満足そうな笑顔で去っていく

 やがてぼくの番が来た

 陳列された商品を見てみると

 眼球

 手首

 腿肉

 舌

 などなどのラインナップ

 これは失敗したなあと思ったが

 どうしたものかと逡巡していると

 背後に並んだ人たちから

 苛立ったような無言の圧力

 ぼくはこんな状況に弱いので

 背中を押されるように小銭を入れて

 安くて冷たい手首を買った


 この手首

 どこか見覚えがあるような

 もしかしたら

 ぼくの知り合いのものかもしれない

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