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数ならぬ身
源氏物語に頻出する、気にかかる言葉はいくつかあるけど
数ならぬ身、というのも
そのひとつだ
紫式部の日記にもあった
人数にも入らないような自分だから、と
ことさらに卑下してしまう
この感覚
山田風太郎はたしか
徴兵検査で体格不適格だった自分を
列外の者、と称した
列の外
数ならぬ身
この感覚
この感覚
とてもおぼえがある
慣れ親しんだ感覚
常につきまとう感覚
わたしは
外れている、と
自嘲する人に
とても惹かれる
その人たちほど鋭い感受性はそなわっていなくとも
わたし自身、数ならぬ身だと思うから