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天沼くん

 死にたくないと感じるとき

 よく思い出すのは

 子どもの頃に読んだ

 大好きなマンガの

 ある場面


 敵ではあるが

 まだ十一歳の

 ゲーム好きの少年が

 面白半分によこしまな計画に加担したせいで

 期せずしていのちを賭けたゲーム勝負をする羽目になって

 動揺してしまい負けが確定する

 きみは計画を知っていたのだから、きみに責任がないわけじゃない

 と、残酷に告げられて

 少年は泣き出す

 こんなことになるなんて思ってなかったんだよ

 オレ、まだオレ、死にたくないよ、と

 そして、死ぬ


 その後、いろいろと展開があって

 結果的に少年は生き返る

 それはきっと

 作者の優しさなのだろうけど

 でもそれは嘘なんだろうな、と

 子どもの頃に思った

 いまでもそう思う

 その優しさを拒みたくはないけど

 やっぱり

 少年は死んだんだろうな、と

 勝手にずっと

 そう考えてきた


 まだ、死にたくないよ

 そう思って

 死んだ子ども

 そう思って

 涙を流した子ども

 初めて読んだときは

 その少年よりも年下だったけど

 いまでもよく思い出す

 きっと死ぬまで

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