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それがない世界
朝起きて
ああ、もう
それがない世界なんだ
思い出してしまって
打ちのめされる
起きるたびに
思い出すたびに
それとはなにか
人だったり、作品だったり、環境だったり、感情だったり、信仰だったり、習慣だったり
なんでもいい
失いたくなかったもの
あるのが当たり前だったもの
なくなってほしくなかったもの
にもかかわらず、なくなってしまったもの
それがない世界に
生きなければならないけれど
忘れられるわけがない
それがあったということを