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途中で終わる夢
大災害の
夢を見た
その当日に自分は眠り続けていて
目覚めると見知らぬ場所にいた
車の後部席に横たわっていた
人の姿の見えない田舎道をさまよって
よく通っていた神社が鳥居だけ残して崩落しているのを眺めて
やっと異常事態に気づいた
そこにいた人々に前日のことを訊いて
新聞を持ってきてもらったところで
夢は終わった
続きは?
続きはどうなるんだよ?
と
目覚めた自分に腹を立てた
夢はいつも途中で終わる
ぬるぬるした化け物に追われて螺旋階段を下りたり
鉄パイプを握る街の人たちから追われて下水道をひた走ったり
なにかに追われる夢を子どもの頃から何度も見てきたが
いつも途中で終わった
あの夢のなかの自分はどうなったのだろう
まだ逃げ続けているのだろうか
自分と言っていいのかもわからない
自分に似たところのある登場人物
夢に結末はあるのだろうか?




