ぼくを葬る その他の詩

ありふれた奇跡

　歌を聴いて

　感動しながら

　不信がよぎる

　人が声を出しているだけじゃないか

　音が鳴っているだけじゃないか

　こころが動いて

　見たこともない景色が見えたような気がしても

　すべて単なる幻じゃないか

　そんな不信

　本を開いても

　不信はよぎる

　紙を眺めているだけじゃないか

　文字をたどっているだけじゃないか

　映画を見ていても

　それは同じ

　だがこころは動く

　たしかに動く

　奇跡はありふれていて

　ありふれていても奇跡は奇跡で

　信と不信のはざまで

　常に問われている

　神の子の時代から

　それは同じ