866/919
あふれるもの
立ち止まると
あふれるものがある
間違いとか
疑念とか
後悔とか
痛みとか
みんな立ち止まるのをおそれる
あふれてほしくないのだろう
自分もそうだ
無意味とか
死とか
喪失とか
痛みとか
立ち止まると
あふれるものがある
だから
ぐるぐる同じところを
歩きまわることしか出来ない
立ち止まって
じっと見つめるのが怖いから
あふれそうなものを
抱えるように、覗き見するように
歩く
ずっと同じところを
ぐるぐると
進めはしないから
進みたいとも思えないから
進むべき道がわからないから
立ち止まると
あふれるものがある
いえなかったこととか
いなくなったこととか
いきたくないということとか
痛みとか
いつか
立ち止まって死んでいる
あふれて
あふれきって




