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わかろうとする豚
大好きな、亡くなったミュージシャンのことを思い出す
彼がある時期、迷走していると言われ
出す作品のことごとくを酷評されていたこと
いまでも、それ以前の時期がピークと見なされ、顧みられないことがたびたびあること
そして後追いで聴いた自分にとっては
その時期の作品もことごとく素晴らしかったということ
生きているうちに
ありったけの言葉と誠意を尽くして
褒め称えたい
死んでから初めて惜しむなんて嫌だ
目の前に現れた真珠に気づかず
足蹴にしたまま冷笑する豚になりたくない
せめてわからないならわからないなりに
わかろうとする豚でありたい




