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ますます尊敬し、ますます舐めている
尊敬する人を
ますます尊敬し
その一方で
この人、バカなんじゃないかな、と
ある面ではそう思いもする
卑小なまでに他人を敬して
不遜なまでに他人を舐めている
「賢さなんてものは本来その程度のものであろう。賢さという独立したものなんかこの世にはない。賢い人というものもこの世にはいない。愚かさに続かない賢さというようなものがどうして信じられよう。狂気と結びつかない何ごとかを必死に信じるということもないのと同じことだ」
(『私の作家遍歴』小島信夫)
本当に、そのとおりだと思う
わたしは必死に信じたがっていて
どれだけ愚劣な側面を見せられても
その人を尊敬することをやめられない




