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殺さないで、殺さないで

 蜘蛛がいて

 つかまえると

 それを見ていた子どもが

 殺さないで、殺さないで、と言った

 もともと殺すつもりはなくて

 窓から外に逃がした


 殺さないで、殺さないで

 なぜだかその声を思い出した

 殺さないで、殺さないで

 その子どもの声に全面的に賛成したかった

 殺さないで、殺さないで

 蜘蛛は嫌いではないし平気だから逃がせたけど

 とても苦手な、害虫と呼ばれる存在はいっぱいいて

 殺さないで、殺さないで

 そう言われても

 きっと殺してしまうのだろう

 殺さないで、殺さないで

 そう言われない存在

 殺さないで、殺さないで

 そう言われても殺される存在

 殺さないで、殺さないで

 害虫

 殺さないで、殺さないで

 だれにとっての害

 殺さないで、殺さないで

 あの声

 思い出す

 子どもの声

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