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本と共に
こんなに本が楽しくて
いいのかしら?
焦がれるように読み漁っていた十代の頃のように
本ばかり読んでいる
完成が見えたからかもしれない
もう少しで
想像の書棚が一区切りつく
再読だけでも一生飽きずに過ごせるな、と
そう言える程度には集まった、鏡のかけらのような、きらきら輝く言葉の積み重なった遺跡たち
失われた時を求めてとか、ユリシーズとか、特性のない男とか
長くて読みにくいと言われる大部の作品を読み終えると
作品の面白さとは別に、ありがたい勇気も受け取った
読めない本はないんだ、と思えるような少しばかりの思い上がり
もうすぐ一区切りつく
そうすればまた、新たな地平が見えるだけだろうか
それはそれで楽しみなことだ
いつ死に、いつ途絶するかはわからないけれど
そのときが来るまでは、本と共に歩いていきたい




