表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
783/919

名前を忘れそうな夜に

 名前を忘れそうな夜に

 バケツ一杯のぼくの霊魂

 蛇口にキスした悪霊の真似事

 おれってこんなかたちしてたっけ

 わたしってこんなに震えてたっけ

 夜に空がなくてもだれも気にしない

 カーテンを閉めて目を瞑るだけなら

 名前を忘れそうな夜は霊魂が酸化する音がする

 静けさに耳が腐蝕する恐怖がある

 なにも理由がないのに胸が苦しくなるのなら

 寿命の告知だけがその焦燥を解決する気がする

 名前を忘れそうな夜は思考がひらがなになる

 ひらがなで書かれた履歴書が身近になる

 ぼくの霊魂は文字に書けない

 バケツにたまったまま揺れている

 砂糖のような五十音が沈殿している

 ぼくの名前と霊魂は携帯電話がなかった時代のようにすれ違う

 午前零時に待ち合わせたはずなのに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ