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嫌悪の才能
ぼくには嫌悪の才能があるから
邪な悪意で世界を罵る
なんの才能にも恵まれなかったけど
ぼくには嫌悪の才能があるから
それしかないから
見るものすべてを容易に嫌うことができる
感じるすべてを罵ることができる
類い希なるこの才能は、十代のときに開花した
ぼくには嫌悪の才能があるから
存在することを持続的に呪うことができる
生まれたことを一生後悔することができる
ぼくには嫌悪の才能があるから
切実なる引き裂きを敢行する用意がある
常に自壊の備えがある
ぼくには嫌悪の才能という
素晴らしく役に立たない恵みを授かったという栄光がある
感謝
だれかに




