表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
752/919

カーブミラーに

 カーブミラーに

 事故の風景が映っていたとする

 血だらけ、飛び散り、阿鼻叫喚

 あなたの行く手

 あなたが曲がらなければいけないその先に待つ

 あなたの事故死の風景


 あなたはぼんやりカーブミラーを見つめる

 立ち止まったまま

 日が暮れて夜が深まっても

 相変わらずその先に進めず幻視に耽りつづける

 あなたの死がカーブミラーに尽くされている

 こんな不吉な曲がり角で

 あなたは終日その先に進めない


 カーブミラーがあったおかげで

 自分が死ぬことに気づくことができた

 カーブミラーがあったせいで

 自分はその先に一歩も進めなくなった

 あなたは寄る辺なく立ち往生する

 季節が変わり木の葉が散り人が移ろい車が錆びついても

 カーブミラーの前で

 あなたは曲がった先を恐れつづけている

 冷たい鏡像を信じつづけている


 カーブミラーに

 綺麗な夕映えが差した

 あなたは誘われるように

 曲がった先のあなた自身になるために

 恐れを忘れて踏み出すのかもしれない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ