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死者は笑うか

 ぼくはずいぶん陰気な人間ではあるけれど

 自分の言葉でだれかが笑うと

 そのことを後々まで嬉しがったりする

 笑わせる魂胆を特別もっているわけではないけれど

 感心されるより笑ってもらうほうがいい

 偶然か愚かさの結果であってもそれはそれでいい

 自分でも笑っている

 暗さもすべて笑いに放り込んでしまえばいい

 死ぬときも笑いたいものだ

 たぶん気力も意味も表情もない

 伝わらない笑いにしかならないだろうが

 死者が笑ったかどうかなんてだれにもわからないのだから

 笑ったということにしておいて死にたい

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