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雨の音、天井

 雨の音が聞こえていて

 雨は見ていない

 天井を見ている


 天井を見ながら想像している

 この雨のなか

 夜遅く

 傘もささずに

 歩いている人を


 その人はどこに向かっているのだろう

 寒くないのだろうか

 靴下が濡れて気持ち悪いだろうか

 歩きながら何度も顔を拭うのだろうか

 ポケットのスマホが水浸しにならないか気にしているのか

 以前にも雨のなかをこんなふうに歩いたっけ、と懐かしい思い出を儚んでいるのか

 その思い出の雨の日はちょうどだれかの葬儀の日だったり

 恋人と思っていた人が待ち合わせに来なかったとか

 それでいっそう雨の感触が意味ありげに感じられて

 その感触をふと思い出しながら歩いていて

 こうしていままったく関係のない天井をただ眺めているだけの人間から勝手に想像されたりもしている


 雨もその人も見ていない

 天井を見ている

 雨の音が聞こえていて

 その人がどこにたどり着くのかは思いつかない

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