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いずれ死ぬ自分

 時間が経たないような振りをして

 日々をやり過ごして

 飼い慣らされた魂をもてあましながら

 いずれ死ぬのを待っている


 自分の死の前に

 出会いたくないもの

 他人の死

 人間の醜さ

 冷たい眼

 意味を見出だせない空騒ぎ

 その他いろいろ

 すべて


 いずれ死ぬ

 そのいずれは

 納得できる結末だろうか

 納得して死んだ人間はいるのだろうか

 知らない

 いないような気がする

 いてほしいような

 いてほしくないような

 わからない

 納得して死ぬ人間は幸福か?

 納得できないまま死ぬ人間は不幸か?

 わからない

 死んだ人のこころは

 わからない

 死ぬ前のこころも

 死ぬ瞬間のこころも

 もしあるならば

 死んだ後のこころも


 ぼくはまだ死んでいない

 いま生きている自分のこころがわかるか?

 ある程度

 すべてとはいえない

 なにもわかってはいないのかもしれない


 ぼくは他人のことがあまりにもわからなくて

 ずっと怯えている

 他人はこわすぎる

 おそろしすぎる

 それが本音だ


 自分のことはある程度わかっても

 好きになれるわけでもない

 自分に対して感じる気持ち悪さは

 他人から遠ざかっても逃げられない

 不愉快な影

 卑屈な汚れ


 死のことを考えるのは

 それがある意味では

 思考の停止を促すから

 死は圧倒的に現実なのに

 現実逃避の呼び水でもある

 死んだ後の自分を想像するほど安らかなことはない

 死ぬ瞬間の想像は

 こわい

 死の前にどれだけの孤独に陥っているのか

 暗い見通ししかないことも


 必死で言葉を吐き出して

 言葉は自分を

 どこにも連れ出してはくれなかった

 いずれ死ぬはずの自分のまま

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