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寝床はだれのもの

 風呂場で髪を洗っていると

 背後のすぐそばに

 何者かの気配


 よくあることだ

 人間も動物だから

 視界を塞がれている無防備なときに

 後ろを取られる危険を本能が警告する

 つまるところこれは

 不安の作り出した幻影だ


 髪を洗い流して眼を開けた

 振り返ってみると

 わたしがそこに突っ立っていた

 背中を流しましょうか

 なんて言うこともなく

 ただ風呂場のわたしをわたしが見ている

 珍しいこともあるものだと思い

 体を拭って髪を乾かし

 寝巻を着てから布団で寝た


 翌日帰るのが遅くなり

 疲れてぐったりしたように家に入ると

 風呂場から誰かの気配

 ああそうだったそうだったと

 そちらに向かってみると

 思った通り

 風呂場で髪を洗っているわたしの姿

 しばらくそれを眺めていると

 髪を洗い終えたわたしがこっちを見た

 さてここまでは昨日と同じ

 一仕事済ましたような気分でもう寝ようと思ったが

 わたしが布団で寝たら

 風呂場のわたしはどこで眠るのだろう

 昨日わたしを見ていたわたしは

 どこで眠ったのだろう

 わたしは他人だけではなく

 わたしすら押しのけて生きているのだろうか

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