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死をめぐる裁判

 さて、ただいまより死を被告人とする裁判を開廷します。被告人、前へ。


 ぼくに罪があるなんて。なにかの間違いです。


 被告人は、許可のない発言は慎んでください。ではまずは、検察官。


 あらゆる生命が死の手によって殺されています。遺族のお気持ちを鑑みれば、情状酌量の余地はありません。われわれは死刑を求刑します。ところで誰か、私とめくるめく恋をしてみませんか。


 検察官は、許可のない求愛は慎んでください。次に、弁護人。


 生きとし生ける者は死ぬものです。死があるから生に価値が生まれるのです。死にも生きる価値はあります。死もまた生きているのです。さて、私はいま“生きる”という言葉を何度使ったでしょう。


 弁護人は、許可のないクイズは慎んでください。では、証人。


 死はとても生真面目で仕事熱心な方です。死がサボっているのを私は見たことがありません。死に罪があるなんて信じられません。死にアリバイがあるとも信じられません。ああ、眠い……。


 証人は、許可のない居眠りは慎んでください。さて、被告人。最後に言いたいことは。


 ぼくは神の命に従っただけです。


 聞いたか、陪審員諸君! こいつは罪を自白したぞ! さあ、判決だ、判決だ!


 ――死刑。

 ――死刑。

 ――死刑。


 満場一致で、死刑の判決が下りました。よって、被告人を死刑に処す。被告人、前へ。その扉をくぐれば、絞首台までは一直線です。


 ぼくが死んでも、死は不滅さ。さようなら、残酷な世界!

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