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死体の記憶

 死体のことを思い出していた

 死体は身近な人だった

 死体は時が止まっていた

 死体はまだ髪も爪も伸びつづけているはずだが

 死体は時が止まっていた

 死体は身近な人だった

 死体は春の終わりに現れた

 死体は病院と通夜と葬儀に現れた

 死体は人形のような顔をしていた

 死体は意外なほど小柄に見えた

 死体は周囲に白い花を敷き詰められていた

 死体は身近な人だった

 死体は棺に閉ざされた

 死体は車に運び去られた

 死体は小窓から別れを告げた

 死体は燃やされていなくなった

 死体は身近な人だった

 死体はぼくの未来だった

 死体になるまでこの死体のことを忘れないでおこうと思った

 死体が死体ではなかった頃の静かで寂しい笑顔を忘れないでおこうと思った

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