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泣けない言葉
ひとり震えて泣きながら
言葉にしがみつく敗残者に
最大限の共感を送っても
髪の一筋すら救えない
指の先すら触れられない
産毛だらけの死体が酸化する
膿だらけの言葉が腐敗する
敗北は過ぎ去った恥辱ではなく
現在を深部から溶解させる
涙なき震え
弔いなき叫び
地上の空気が哀しみを疎外する
微細なすれ違いがいのちを踏み潰す
ひとり震えて泣きながら
ひとり震えて泣きながら
きみはどこにいるの?
どうすれば救えるの?
泣けない言葉が目尻をかきむしる
少しの慰めすら乾きが拒絶する