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十二で死んでいたら
十二で死んでいたら
完璧に幸福だった
悪くない人生だったと
なんのためらいもなく言いきれた
すべてがあったから
その後にそうではなくなったなら
それはなぜなのか?
完璧に幸福ではなく
人生はいいものだと言えなくなったなら
それはなぜなのか?
すべてがあったのに
すべてはどこへ行ったのか?
その後の認識は間違っているのか?
十二の自分が間違っていたのか?
わからない
ただ自分の罪は
十二の以前に存在していた
気づいていなかっただけだった
だから自分の完璧な幸福は
悪い人生だった
悪が多分に含まれていた
すべてを穢していたのは自分だった
だからやはり間違っていた
いまも間違っているがやはり間違っていた
十二で死んでいたら
完璧に間違えたまま死ねたのにな