表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/916

死にたがり暦歌

 一月は凍死

 吹きすさぶ寒風が年明けのめでたさに人を殺す


 二月は殉死じゅんし

 場違いな忠義がおのずから燃えあがって人を殺す


 三月は餓死

 見捨てられた空白が春風を伴って人を殺す


 四月は狂死

 暖かな気候がこころくるめかせて人を殺す


 五月は頓死とんし

 去年からの憂鬱が満開に花ひらいて人を殺す


 六月は慘死ざんし

 梅雨時つゆどきの殺意が湿り気を帯びて人を殺す


 七月は熱死

 失われた慈雨じうが五体をかつえさせて人を殺す


 八月は溺死

 反魂はんごん水気みずけ衆生しゅじょうを呑み込んで人を殺す


 九月は圧死

 立ち遅れた残暑が群衆を煽らせて人を殺す


 十月は枯死こし

 秋めいた流行はややまいが黄昏を患わせて人を殺す


 十一月は刑死

 消えることのない過去が罪の威を借りて人を殺す


 十二月は自死

 歳月の重みが生きることをいとわせて人を殺す


 もちろんのことですが

 年間に起きる人死ひとじには

 いちダース程度では済みません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ