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二十一世紀の感覚
あくまで個人的な感覚だけど
二十世紀までのフィクションには
死がある
二十一世紀のフィクションには
死がない
見失ってしまった
とらえられなくなってしまった
ずっとそれを探してもがいている
ビルに飛行機が突っ込むような
悪夢じみた烽火で幕を開けたからか?
凄惨な事件は前世紀にも腐るほどある
倫理の底が抜けたようなこの感覚は
一体なにに由来するのだろう
人が死んでも死にきれていない
魂のかけらすら鎮められていない
悼む作法すら忘れてしまった
亡魂すらも死に気づけない
そんな痛みのない痛みがずっと感覚を麻痺させている
この世紀に幽霊の居場所はあるのか?
生きている人間がみんな死者のように見えるのに