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鳥を見ていて思い出した言葉
血を吐きながら
くりかえしくりかえし朝をこえて飛ぶ鳥
そんなセリフを思い出す
それは有名なマンガの
クライマックスにあらわれたセリフ
鳥を見ていると
いろいろな言葉を思い出す
空を見ていても
月を見ていても
記憶に値する言葉が
景色に誘われて浮かび上がる
言葉を伴わない無色の心眼を
自分は失ってしまったが
なにを見ても
だれかの言葉を思い出せるのは
ときに心強い
世界には他人が存在する
それは悪いことではないのだと
言葉の温もりに教えられる気がする