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泣けない人間

 泣きたくても泣けない

 なぜ泣きたいのだろう

 なぜ泣けないのだろう

 それもわからない

 泣いたところで

 どうなるものでもないのに

 最後に泣いたのはいつだろう

 思い出せなかった

 あの人と会えなくなったのは

 哀しみと痛みを無限に広げたけれど

 それでも泣けなかった

 泣けたらいいのにと

 いまでも思っているのに

 本当に泣いていないのだろうか

 ささいなことで泣いた気もする

 でも憶えていない

 記憶に残らない涙なら流せる

 記憶に残る涙とはどんなものだろう

 人が死んだときに泣いたなら

 その人の死を忘れないかぎり

 涙も記憶に残される

 自分の死が近づいたときに

 どれだけの死を思い出せるだろうか

 どれだけの涙を思い出せるだろうか

 自分が流した感情

 自分が喪った感情

 百年後に人類がまだ笑っていたら嬉しい

 ヴォネガットはそういった

 百年後に人類がまだ泣いていたら

 嬉しいだろうか

 哀しいだろうか

 百年後に人類がもう泣かなかったら

 嬉しいだろうか

 哀しいだろうか

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