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天までつづく横断歩道

 道路にひかれた

 白い縞

 車が行き交う死圏にかけられた

 歩行者を守る認識の橋

 それがいまでは

 階段になっていた


 道路の対岸ではなく

 青い空へと

 白い段差がつづいていた


 信号は赤だけど

 ぼくはのぼった

 交通法規は下界のルールだから

 昇天に口は挟めない


 上から見下ろす信号機って

 伏し目がちで哀しそう

 三色目玉の愉快な道化の

 別の面影を見た気分


 電線にとまったカラスにハロー

 思いのほか近くからの挨拶に

 黒い鳥類は驚いている


 横断歩道

 どんどんのぼる

 段の先

 雲に隠れている


 きょうが晴れていてよかった

 階段が雨にぬかるんでいたら

 転落して死ぬのは必至だから


 ヤコブが夢にみた梯子って

 翼をもがれた天使のための

 バリアフリーだったのかな

 障害を持った天使のための

 神のせいいっぱいの扶助


 道路の向こうに渡るはずだったのに

 いつのまにか太陽に近づいている

 のぼっているうちに日も暮れて

 オレンジに染まる白い階段

 夕焼けの雲と友達のふり

 夜になるまでの短い遊び


 触れそうなほど近い月をみて

 階段の途中で一休み

 道路の向こうへ渡るのは

 もはや絶望的だけど

 天のどこかへたどりつくなら

 この階段も悪くない

 帰りたくなったら落ちればいいから

 もう少しだけのぼってみよう

 横断歩道を渡ろうとして

 天を目指すことになろうとは

 神もびっくりの散歩コース

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