表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/917

わたしはわたしのわたしを

 わたしはわたしの中にわたしがいるということを是認できないようであった


 わたしの中にいるわたしはわたしではないと考えなければ耐えがたいようであった


 わたしはわたしから最大限の距離をもって離れていたかった


 わたしは鏡を見るたびにその像が粉々に砕けてしまえばいいと願わずにはいられなかった


 わたしはわたしについて思いをはせることが泥沼でしかないことを理解しながらなおもわたしがわたしであることを許せなかった


 わたしはわたしをいつか殺すのはわたしであるはずだと契約したかった


 わたしはわたしのいないところで他者からわたしが観測されていることを不気味としか思えなかった


 わたしはわたしを感じるたびにわたしを殴り殺してしまいたくなるのだった


 わたしを否定するわたしにわたしの記憶を愛惜する権利はなかった


 ゆえにわたしはわたしと無関係でありわたしはわたしではなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ