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金縛りの思い出

 金縛りにあったことがある

 なのにほとんど印象に残っていない

 幽霊に会いたいと望む身としては

 願ってもない怪奇現象

 なのにほとんど印象に残っていない

 動けないなと思って

 なにかが近づいてくるような気配がして

 そのあとたしか

 寝てしまった

 だから夢だったような気もする

 でもあてにならない記憶によれば

 夢ではなかったような気がする

 まだそのときは起きていた気がする

 なのにほとんど印象に残っていない

 金縛りにあったと日記に書いて

 すぐに忘れて

 ずいぶん経って

 日記を読み返して

 そうだそうだと思い出した

 なのにほとんど印象に残っていない

 あのときなにが

 近づいていたのだろう

 見たかったな

 気配の正体を

 また起きないかな

 金縛り

 見てみたいんだ

 死に近づけるなにかを

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