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ぼくに優しさがあるのなら
ぼくに優しさがあるのなら
だれかにそれを届けたい
夜は死にたい時刻だけど
ときどきはそんな気分にもなれる
昼間の太陽は明るいけれど
影は痛みに苦しむかもしれない
月や星空が好きだから
柔らかな光が好きだから
ぼくに優しさがあるのなら
暗闇でそれを包みたい
見返りを求めると間違うのは
信仰も優しさも同じだから
気づかれないような淡さをもって
かすかな痛みに耳を澄ませよう
遠のいた季節が秋になって
震えていた風が黄金色に染まる
ぼくに優しさがあるのなら
ぼくに優しさがあるのなら