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詩にはすべてがない
詩にはすべてがない
根拠がなく弱い
小説には
筋がある
人物がある
描写がある
カタルシスがある
ページの嵩による重みがある
映画には
男優女優のめくるめく姿態
景色の官能
ただよう空気感
物音から声から劇伴まで
あらゆる音楽がある
詩にはすべてがない
あるようでない
たまらなく淡い
人を夢中にさせる根拠がない
とても弱い
もちろん売れない
必要とされない
詩にはすべてがない
根拠がない
ところがなぜだか不思議なことに
弱さにつまずく人間が
いつもどこかで詩に出会う
そこでなぜだか不思議なことに
詩にはすべてがある
と
数式発見者みたいにつぶやく




