324/917
死に甘える
不思議なくらいに人生がどうでもいいぼくは
苦痛なしならいつでも来てほしいと願うくらいに死に甘えている
苦痛以外に死を厭う理由があるだろうか
たとえばそれはどんな理由だろう
もっと生きていたいか?
そうであるともいえるしそうでないともいえる
やり残したことがあるか?
あるにはあるけどやらなくてもかまわない
会いたい人がいるか?
いるにはいるけどどうせ会えない
言い残した言葉は?
そもそも話すべきではなかった
未練はあるか?
このさき生きたところでなくならないだろう
不思議なくらいに人生がどうでもいいぼくは
どうでもいいという消極性だけでは死にきれない
甘えられた死が待ちきれなくて怒っている
媚態を示して積極性を待っている