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黒と白の鍵盤

 白鍵に

 死をのせて

 奏でる

 その音色が

 人生に似たとして

 震える空気が

 生きるわけでもない


 黒鍵を

 死なせたまま

 奏でる

 その響きが

 霊園に似たとして

 受けとるこころが

 悼むわけでもない


 ピアノの鍵盤がなぜ

 黒と白に別れているか

 子どものころの

 夏の日の退屈な時間に

 答えが出るまで考えつづけたと

 あの人はいつか話していたっけ

 どんな答えを見出だしたと言ったかは

 忘れてしまった

 考えにふける彼女の時間が

 どこかの夏でまだつづいているような

 奇妙な白昼夢に襲われて


 あの人がいなくなったいまも

 その問いを時々思い出す

 ピアノの鍵盤はなぜ

 黒と白に別れているか

 正しい答えを知ろうともしないまま

 問いはいつしか変容し

 善と悪はなぜ別れているか

 生と死はなぜ別れているか

 そんなふうにいまも

 彼女がどこかで問いつづけているような

 問われているのは自分であるような

 身勝手な夢にいつまでもふけって

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