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窓ガラスの向こう

 窓ガラスの向こう

 仲睦まじく人々が

 ささやくように言葉を交わしている

 その内容も音も

 窓ガラスのこちら側には聴こえない


 窓ガラスの向こう

 感情豊かに人々が

 哀しむように泣いている

 喜ぶように笑っている

 その内容も表現も

 窓ガラスのこちら側には

 不可解で意味がわからない


 窓ガラスの向こう

 人生と呼ばれるなにかがあるらしい

 常に動いているらしい

 窓ガラスのこちら側には

 どうやら見当たらないようだ

 ここは無音で静止している

 人生と呼ばれるなにかから

 ガラスで隔てられて


 窓ガラス

 薄皮一枚の

 透けた境界

 割るべきか

 砕くべきか

 いつか割れるのか

 いつか砕けるのか

 それを自分は望んでいるのか

 そうなる前に死にたいのか


 窓ガラスの向こう

 そこにもきっと死はあるだろう

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