表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/916

哀しみは血友病

 いつになったら

 この胸の痛みから解放されるのだろう

 後ろ向きにも程がある

 前向きになれたことがない

 被造物に与えられた喜怒哀楽のうち

 哀しみだけが際限なく肥大する

 そんなうつむいた人種にぼくも属している

 最初の傷

 最初の嘆きは

 いまもこころの片隅で血を流している

 ぼくの哀しみは血友病けつゆうびょう罹患りかんしている

 時間はすべてを癒やしてくれると

 魂をほじくる医者がありがたいご託宣たくせんを述べても

 十年以上前の傷が

 いまもぼくの暗さを規定しているように

 あのときの気まずい仲違い

 あのときの寂しい死

 あのときのぼんやりした別れ

 すべての傷口がいまも痛む

 じくじくと赤くにじんでいる

 ぼくは頑なな病人だ

 癒えることをがえんじない永遠の患者だ

 薄明と薄暮に傷をいじくって

 絶対に忘れてなるものかと

 涙の代わりに血を流し続ける

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ