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月夜に傘を持つ理由
今夜も月に見られている
夜空をずっとついてくる
開ききった瞳孔が忌まわしい
充血の朱色が狂おしい
盲いた月ならば愛せもしようが
凝視する隻眼はあまりにも禍々《まがまが》しい
わたしの眼を見つめている
わたしの胸を覗いている
わたしの五体を品定めしている
雲が視線を遮った隙に
わたしはビル陰にまぎれて息をひそめた
恋を見失った愚昧な月から
滂沱の涙があふれ出した
雨が都会の肌を叩く
月の涙が街を濡らす
だからわたしはいつだって
月夜に傘を持ち歩くのだ
今夜も月に見られている
夜空をずっとついてくる
開ききった瞳孔が忌まわしい
充血の朱色が狂おしい
盲いた月ならば愛せもしようが
凝視する隻眼はあまりにも禍々《まがまが》しい
わたしの眼を見つめている
わたしの胸を覗いている
わたしの五体を品定めしている
雲が視線を遮った隙に
わたしはビル陰にまぎれて息をひそめた
恋を見失った愚昧な月から
滂沱の涙があふれ出した
雨が都会の肌を叩く
月の涙が街を濡らす
だからわたしはいつだって
月夜に傘を持ち歩くのだ
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