ぼくを葬る その他の詩

憂鬱のアップデート

　他人を羨ましいと思えない

　どんな人生でさえも

　生まれないことに如《し》くはないと

　暗い澱《おり》のような考えが胸底《むなそこ》によどんでいるから

　そんな救いがたく暗鬱な人間なのに

　彼女が他人とお喋りしているのを見て

　初めて嫉妬という感情を理解できた

　そうか

　これが噂に聞いていた

　人を際限なく暗くさせる感情か

　そうしてぼくは遅まきながら妬みを知り

　ぼくの憂鬱はよりいっそう暗くなった

　暗闇の深さに際限はない

　ぼくはこれからも暗さを更新しつづけて

　初めて知ったような未踏の憂鬱を開拓しよう