躁鬱の歌
死のう死のう死のう
言葉はいらない
慰めもいらない
死のう死のう死のう
痛みはいらない
感情はいらない
死のう死のう死のう
わたしはいらない
わたしのプラスチックでこしらえた生存はいらない
死のう ガラクタのなかのぬばたま
死のう 群衆のなかの二酸化炭素
死のう アークライトで照らされた沈丁花
死のう死のう死のう死のう死のう
手首を切ってうらうらと笑う
薬を飲んでぴこぴこと泡をふく
首をくくってぶらぶらと浮かぶ
死のーう
死のーう
死のーう
そこに現れたるデウス・エクス・マキナ
てこの原理で希死念慮を覆す
生きよう生きよう生きよう
死なんていらない
死者なんて知らない
生きよう生きよう生きよう
浄福しか知らない
幸いしか食べない
生きよう生きよう生きよう
わたしはいらない
わたしの鉄塊で武装した憂鬱はいらない
生きよう グラスのなかの十戒
生きよう 塵埃にまみれた後光
生きよう ストローで流し込まれた五月晴れのピクニック
生きよう生きよう生きよう生きよう生きよう
自傷を諫めてうらうらと笑う
薬を吐き出してぴこぴこと泡をふく
吊り紐をたぐってぶらぶらと浮かぶ
生きよーう
生きよーう
生きよーう
これは愉快な躁鬱の歌
今日も気分は乱高下