表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/916

笑う火葬

 笑うのが好きだ

 他人が笑っているのも好きだ

 でも本当に彼らは笑っているのか

 本当にぼくは笑っているのか

 可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて


 醜い彫刻のようなぼくの笑い

 儚い雪像のような彼らの笑い

 葬式は満場の笑みに包まれ

 送られる死者は腹を抱えて笑いながら

 喜劇的な焔をあげる

 哄笑の火葬

 嘲笑の火葬

 憫笑の火葬

 死者はなぜあんなにも笑っているのか

 可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて


 炎に包まれて死ぬ人間は

 まるでダンスを踊っているようだときく

 生命を燃やして踊られるダンス

 魂の燃焼作用

 そこにこめられているあがきも

 怒りも

 哀しみも

 笑いながら眺める者たちには通じない

 観客はなぜあんなにも笑っているのか

 可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて


 笑うのが好きだ

 笑っていないと死にそうだ

 偽物の笑いなんか大嫌いだ

 腹の底から笑おう

 大口を開けて間抜けに笑おう

 黎明も真昼時も夕闇も夜更けも

 狂ったように笑って過ごそう

 凍った世界を燃え上がらせよう

 可笑しいことなんてなにもないこの世界に生まれて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ