秋葉原ヲタク白書26 特撮監督ブンバガバンの来日
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第26話です。
今回は、主人公の作品にインスパイアされた東南アジアの特撮監督3人組が秋葉原を訪問、主人公と親交を深めます。
ところが、彼等は本人も知らない内に"運び屋"に仕立てられており、当局とカルテルの双方から追われる身に…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 監督トリオがやって来た
アジアンな3人組が、電気街口改札を抜けた雑踏広場の真ん中で大地にヒレ伏す。
「おぉ!私達は来た!」
「夢にまで見たリアル秋葉原!」
「萌えの神に感謝を!」
丸顔のブンは天を仰ぎ、浅黒い肌のバガは地に伏し、小柄なバンは…地面にキスしてる!
アキバに来た興奮を体現するインバウンドは数あれど、地面にキスした連中は初めてだw
確かに聖地ではアルが、メッカじゃあるまいし、流石にドン引きw
で、コレが特撮監督ブンバガバンと僕とのファーストコンタクト。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ミユリさん、テリィさん!御紹介します!コチラが東南アジアを代表する特撮監督ブンバガバンの3人組です」
「あ、この変人トリオ、さっきガンダムカフェの前で地面にキスしてたょ?」
「おおっ!貴方がテリィ様?あの特撮萌えの名作"地下鉄戦隊メトロキャプテン"の executive story editor だ!キャー!本物?握手してくだーさい!」
いまいちアクセントが妙w
またしてもゴシップボーイが変なの連れ込んで来たょ?
駅前に変なの発見!と話す前に、もう御帰宅されてる笑
あ、ココは、僕の推し(てるメイド)ミユリさんの御屋敷だ。
ヲタクを引き寄せる電波を発し高速回転する"中性子星バー"。
今宵も変なヲタクを呼び込んでるw
「テリィ様!貴方サマを神と崇める!」
「えっ?僕を?迷惑だな」
「私達は"メトロキャプテン"にインスパイアされ、このパイロット動画"シビれろ!生アクビ娘"を撮ったのdeath。是非ご覧くださいマセ。ゴシップ兄、お願ーいしーます」
ゴシップボーイがPCを開いて、動画サイトから3人組の作品を拾って見せてくれる。
あ、ゴシップボーイは世界中に読者がいるパワーブロガーなんだが3人組の知合いか?
動画が始まる。
「呼ばれて飛び出てお仕置きよっ!」
「くそぅ!またも邪魔する気か、生アクビ娘め!」
「お黙り!必殺の虹色光線をお見舞いしてやる!おかえりなさいませー!」
解説する気も萎える。
何処かの廃墟に、学芸会から抜け出たヒマワリのオバケみたいな怪人が出現するが、アラビアンなヒロインに1発でヤラレるw
ヒドいなコレ←
アラビアン女子は、ポニーテールで両耳に大きなイヤリングを揺らしてる。
お約束のヘソ出しセクシーベアトップなんだが、下は唐突にミニスカートw
で、雑に積まれたドラム缶の上で大見栄を切り飛び降りパンツ丸見えのまま光線発射。
恐らくスカートがめくれたままなのは、ウケ狙いかと"好意的"に解釈してはみるが…
あ、このためのミニスカートだったのか!笑
画面には幼稚園児の殴り書きのような"光線"が現れ、ヒマワリ怪人がシビれて倒れる。
その横で遠い目の"ドヤ顔"をキメる女子は、まぁ特に美人では…パンツも見えてるし。
「私達、生アクビ娘に逢いに日本に来た」
「えっ?この子、日本人なの?ヤタラ彫りが深いけど」
「私達と同じ国の人。先に秋葉原に行ったハズだが目下、行方不明ナウ」
片言の日本語も怪しいナウ←
「ちょっちーソレは心配だね」
「心配のついでに怪しいメールさっき来ーた。誰から来たメールかは不明なトコロのメールが来た」
「え?どんなの」
ナリイキで読むハメに←
生アクビ娘、死んだ。
探せば、お前達も生きることがない。
国に帰るがいいにある。
かろうじて意味が通じるw
だけど!おいコレ脅迫状?
思わず、カウンターのお隣と顔を見合わしたらサイバー屋のスピアで早速自分のPCを開き3人組のスマホと接続し何やら調べ出す。
「うーん。まぁそぉよねぇ」
「え、何?」
「この脅迫メール、プリペイド携帯からで追跡不可能だわ」
…とか逝いつつスピアはPC操作を続行。
ん?メイドの顔写真がズラリ並んだょ?
「でも、最後に経由した無線LANが…うーん@ポエムなんですけど?」
「ええっ?@って、あの老舗の御屋敷の@?」
「そう。で、昨日更新のHPから最新メイドリストを見ると…外国人メイドは2人いて、1人はリアルパツ金で多分ロシア系のサビナちゃんと…もう1人がアジアンだからコチラかな?」
スピアがPC画面を指差す。
第2章 生アクビ娘を追え
そのメイドの名はルビィ。
浅黒い丸顔に低い鼻で、ロシア美人のサビナちゃんと比べるべくもないが、間違いなく動画の"生アクビ娘"と同一人物だ。
プロフィールに「出身:バナナ星」とあるので、恐らくフィリピーナ←
というコトは、目の前の特撮監督ブンバガバンはフィリピーノなのか?
カウンターの中でミユリさんがスマホを抜く。
「あ、ひろみん?御無沙汰。ごめんね、ちょっち急ぎなの…え?あぁ、国営放送?見た見た。とうとう貴女、逝っちゃったのね、子供がいるって」
「☆?〜】♬!&@〓⌘◆〆!!!」
「わかったわかった。で、@のフィリピーナさんなんだけど。え?欠勤してる?ねぇ、ちょっちお話を…え?いま取材中?ソレ先に逝って。じゃ、どなたかお友達を紹介して」
ひろみんは、アキバを代表する社長メイドで政府のカワイイ大使も務める有名人。
先日、国営放送でプライベートを披露したトコロ、目下取材が殺到中とのコトだ。
数分後、@メイドが制服のまま御帰宅する。
そ、その格好のまま、君は東西自由通路を?
「こんにちーわ。私はポテチ。萌え萌えゴージャス」
「おかえりなさいませ、お嬢様。忙しいのにごめんなさい。私はミユリ」
「あ、ヒーロミ社長から知ってるコト、全てミユーリさんにお話しスルよう、言われたトコロの者は私です」
ポテチはルビィと同じ日本語学校の生徒。
学校推薦を得て、憧れの@メイドとなる。
一方、ポテチと異なり友人のルビィは入国カードを偽る不法滞在者で公的な記録がないw
生活の糧に@以外でも帳簿外のバイトをしてたようだが、1週間前から欠勤し行方不明。
フィリピーナ仲間のマリアと北千住でルームシェアしてたが、アレはどうやら"同棲"。
駅東口の"学園通り"の路地を休日に2人がラブラブで腕を組んで歩いてるのを目撃w
「ココまで、ヒーロミ社長から、知てーるコト全くお話しスルよう言われて来たトコロの話です」
「ありがとう、ポテチさん。貴女のアキバの日々が良い想い出に彩られますように」
「あ、あ、あの秋葉原1有名で高潔なミユーリ様。実はツーチェキお願いしたーく思フのは一生の思い出にしたいの為です」
ポテチがミユリさんとニャンポーズでツーショットチェキに収まる。
ミユリさんに入念に落書きをしてもらってポテチは幸せそうな笑顔。
その間、僕はゴシップボーイを間に立て特撮監督ブンバガバンの3人と作戦会議を開く。
不法入国ではあるが、アキバ満喫中のルビィは何らかのトラブルに巻き込まれた模様だ。
「あの脅迫状は、一体誰が発信したのかなぁ」
「ルビィの同棲相手のマリアってのが妖しいですねぇ。何となく美女…じゃなかった悪女フラグ立ってるし、とりあえず会ってみましょう」
「ゴシップボーイ。貴殿の掲示板をお借りしたいトコロの僕達だ。とーりあえーずルビィを呼び出すのは先だ」
ブンバガバンはゴシップボーイのブログの常連で、仲間内で彼のブログのコメント欄を掲示板代わりに使っていたようだ。
ルビィは、ブンバガバンを日本に呼び寄せる時も、ゴシップボーイのコメ欄を使って色々と細かい指示を出してたらしい。
「ゴシップボーイ、とりあえずブログ、更新してくれるかな」
「お安い御用です。ユーリさんのハートアップライスの話、まだUPしてなかったんで」
「ええっ?もう食べたの?どうだった?」
直ちにゴシップボーイのブログは更新され、ブンバガバンが音速でコメをつける。
「秋葉原に来た。ゴシップ兄が紹介したハートアップライス食べてみたい>ルビィ」
「マチガイダサンドウィッチズ2300>ブンバガバン」
光速でコメ返がつく。
約束は約15分後だ。
ルビィは、アキバにいるのか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕達のアキバのアドレス(溜まり場)であるマチガイダサンドウィッチズは雑居ビルの2Fにある。
入ると直ぐ右にトイレ、その先のカウンターは右に伸び奥は少し広くてテーブルが3つ。
「あ、あれ?テリィ何しに来た?LO終わってるぞ。チリも完売なんで店を閉めるけど」
「えっ?せっかくハートアップライス食べに来たのに!」
「眠たいコト逝ってろ。な、何ゴトだょゾロゾロ引き連れて。サーカス団か?」
店長のユーリさんに手短に経緯を話し、ブンバガバンの3人組は店の奥のテーブルへ。
僕とゴシップボーイは、居合わせた常連に紛れてカウンターに腰掛けルビィを待つ。
あ、ミユリさんは、まだ営業中なので御屋敷を出られない。
果たして、階段を上がる女モノの靴音に続きドアが開く音。
トイレの角を曲がり、姿を現したのは…
第3章 特捜刑事はマヨネーズが嫌い
すげぇ美人だw
やたらパッチリした目に長い睫毛!
目鼻立ちクッキリ系の…色白美人?
ん?フィリピーナさんだょね?
だって小柄でダイナマイトな…
「む、胸の谷間がクッキリ、凄過ぎ…」
「口を閉じて、テリィさん」
「こ、こんにちわ。ってか…Hello?」
黒のライダースーツの胸をはだけ、コレで縮毛とぽっちゃり鼻を何とかしてシークレットブーツを履けば不二子ちゃんだょ!
とにかく、男性本能的に出番を直感した僕が国際的紳士の代表みたいに爽やかに挨拶。
ところが、不二子はソレをアッサリ無視して店の奥のブンバガバンへ一直線に直行だw
"Hey!You!"
"Oh!What the heck!"
"Put your hands behind your back!"
あれ?不二子って警官?泥棒じゃないの?
わっ!目線の高さにピタリと銃を構える!
"Gun!"
"Oh, My god!」
"Help!"
ブンバガバンの3人組は血相を変え大騒ぎ!
だが、彼女が構えるのは…フェイザー銃?
ハンディ扇風機みたいな形のソレは映画"スタートレック"に出て来る光線銃だ。
映画では光速伝播し敵を一瞬で原子未満レベルにまで分解・蒸発させる光線兵器w
ところで、映画ではフェイザーは東京の宇宙艦隊科学研究所で開発されたコトになってるが、その研究所は絶対アキバにアルと僕は…
とにかく!
恐怖の光線銃の出現に深夜のホットドッグステーションの空気が凍りつく!
僕は、彼女のフェイザー銃が「麻痺」に出力調整されてるコトを神に祈る…
せめて「加熱」で!
「破壊」だけはダメ絶対!
「うぉりゃあああっ!」
SF的に魂が震撼する緊迫局面を打開したのは店長のユーリさんだ!
彼は見たコトのない黄色い光線銃?を腰だめにし飛び出して来る!
あ、あれ?ラベルに「業務用マヨネーズ」って書いてあるけど?!
「ヲレの店で勝手なマネすんなー!」
ごもっとも!
ユーリさんが容器を絞るや、黄色い光線がほとばしり…って実はマヨネーズなんだけど、振り返った不二子の顔を直撃する!
"☆?〜】♬!&@〓⌘◆〆!!!"
"HotDOG!"
"Stop!Stop!I surrender!"
不二子は、まるで熱湯を浴びせられたかのように大騒ぎし顔を掻き毟り七転八倒!
ナンボ何でもソリャ大袈裟でしょ?マヨネーズだょと思いながらも取り押さえる。
「ワ、ワタシは、マヨネーズはダメなのっ!アレルギーなのっ!」
「おおっ!日本語、上手いな」
「しかも、ナイスバディ」
僕とゴシップボーイと、どっちがどっちのセリフを逝ったのかはナイショだ笑。
とりあえず、両脇から抱えるようにしてナイスバ…じゃなかった女を立たせる。
「離せ!私はNBI特捜班のリエンだっ!You Japanese!捜査妨害、お国の言葉なら公務執行妨害で逮捕するっ!」
「FBI?アンタはアンタッチャブル…なんちゃって」
「"N"BIよっ!フィリピン国家調査局!ブンバガバンの3人はカルテルの"運び屋"で、私はマニラからずっと3人を追って来たのっ!」
ヤバッ!マジで警官かょw
スゴい剣幕でバッジを見せるが顔同様マヨネーズまみれでよく見えない…コトにしておこうw
やっとマヨネーズアレルギーから来る湿疹や発作が一段落したのかリエン捜査官が語り出す!
「ブンバガバンの先ずブンだけど、彼は元汚職警官で、今は骨までしゃぶる高利貸しの取立て屋。バガは移民で元AFP(フィリピン国軍)のレーダー技術者だったのに、今はフライドチキンの店で宅配ドライバーをやってる。バンは、アンタらが生アクビ娘と呼んでるルビィが住むコロナ地区の用心棒。地元警察の組織犯罪班ファイルに拠れば強請り、資金洗浄、暴行の前歴がある。どう?コイツらは全員、犯罪者かその予備軍でマニラの底辺に沈殿する檻みたいな連中なのょ!」
「待てくーれ。NBIの言うコト、全て正しいトコロのコトに反対の意見ナシ。でも全員、より良き夢を追い特撮に賭けるパトス(情熱)は真実。あらゆるヲタクに夢追う権利ある」
「ソレは、お前らがカルテルの"運び屋"をやる前までの話!マニラでコカインの入ったコンドームを飲み込んだ時から、もうお前らには何の権利もないっ!今、お前らの胃の中にブラ下がってるコカインは、末端価格でザッと50億ルピー。そして、お前らがクソブログにコメしたせいで居場所がバレ、今や、アッチもコッチも、お前らの腹を裂き50億ルピー分のコカインを頂戴しようと狙ってる奴等ばかり!コレは逮捕だケド、お前らの身柄を保護するタメでもあるのよっ!」
と、語るソバから、彼女の背後に忍び寄った何者かが捜査官を羽交い締めにし、その口にマヨネーズのお徳用チューブを押し込む!
リエンは目を白黒させ、力の限り振り解こうと暴れるが怪力で押さえ込まれ動けない。
呆気なくマルマル1本分のマヨネーズを流し込まれ完全に失神、床に大の字に伸びる。
「フフフ。NBIの特捜班、大したコトない。私はマリア」
「ええーっ?!お前がルビィと同棲してたマリアか?で、でもマリアって"百合"だろ?イメージ狂うんですけど!」
「フフフ。その貧困なイメージもっと狂わせてやる。私は"受け"だ」
言葉もないw
自称マリアもライダースーツで、コッチはカモフラージュ柄で同じ不二子でもカリオストロバージョンにチェンジしてルンだが…
デカいんだょ!デカ過ぎるっ!
スーツもピチピチでパンパンw
あらゆるフェチが人権を認められる昨今、巨女デブ専も今では立派なAVの1ジャンルだが、初めて見るモノホンの迫力には圧倒されるw
さしものユーリ店長も、指1本動かせナイ。
しかし、ブンバガバンのコメは色んな人を呼び寄せてるんだな。
姿を現さないのは、あとは肝心のルビィだけじゃナイかトホホ。
「☆?〜】♬!&@〓⌘◆〆!!!」
「Bang!」
「What happened?」
突如、ブンバガバンの1人、最も小柄なバンが、もがき苦しみながら泡を噴いて倒れる!
ブンとバガがオロオロと介抱するが、激しい痙攣が始まり、完全に白眼を剥いてしまう。
「マズい!飲み込んだコンドームが破れたみたいだ!可哀想だが、腹を裂いて取り出さないとダメになってしまう!」
「ダメになるって?バンが?」
「コカインが、に決まってるだろ!コイツらは遅かれ早かれコカインを取り出す時に腹を裂かれて死ぬ運命なんだ!」
そう叫ぶや、マリアは末期の痙攣を繰り返すバンに馬乗りになって怪力で押さえつける。
ブンとバガが泣きながら飛びつくが、丸太のような腕にアッサリ壁まで跳ね飛ばされる。
マリアは既にグッタリしているバンに跨って衣服を剥ぎ取り、バタフライナイフを器用に開くや、バンの腹部に突き立て…
「やめろぉ!」
ソレはモチロン勇気なんかじゃない。
僕は勇敢なんて言葉とは無縁の男だ。
だから…あぁ僕は一体何をしたんだw
僕は、大の字に伸びてるリエン捜査官が、気を失ってなお握ってるフェイザー銃に手を添え、マリア目がけて引き金を引いたのだ!
「カタカタカタ…」
実は、惑星の地殻をも爆砕する図太い光線の発射を期待してたが、実際には思わず気が抜けちゃう情けなくも小さな音がしただけw
しかし、後で聞いた話だと、その瞬間、マリアの巨体に流れ込んだ電流は5万V!
彼女は、雷に打たれたようにビクンと震え、大きく仰け反り、ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと、倒れる。
どっしーん!
森で1番の巨木が倒れるように。
第4章 さよならブンバガバン
結局、僕がフェイザー銃だと思っていたのはテーザーガンだったようだ。
相手に針を撃ち込み、電流を流して気絶させる遠距離型のスタンガンだ。
"スタートレック"とは全く無縁のモノで全世界のトレッキアンに合わせる顔がないw
マリアが気絶するや、直ちにユーリさんが警察と救急を呼んで、ブンバガバンはパトカー、リエンとマリアは救急車で運ばれる。
結局、3人組はコカイン入りコンドームを全て吐き出した後、本国への強制送還が決まるが、それまで束の間のアキバを満喫する。
実際、彼等はルビィから、タダで秋葉原へ行けて金儲けまで出来るウマい話があるの、と持ちかけられて、利用されただけなのだ。
マチガイダでNBIの捜査官やカルテルのデブ殺し屋の話を聞くまでマニラで飲み込んだのがコカインとは知らなかったと供述する。
曲者は、ブンバガバンを唆したルビィで、彼女は"運び屋"として来日、自身の成功に気を良くして"事業拡大"に走ったワケだ。
もちろん、ルビィは最後まで姿を現さず、ついでに病院搬送のマリアもERから脱走して行方をくらまし、リエンは地団駄を踏む。
あの2人は、今も日本の空の下の何処かで"同棲"しているカモしれないw
一方で、発端となった脅迫メールだけど、今もって発信者は特定出来ない。
だから、ルビィが腹を裂かれ兼ねない"運び屋"稼業に引き入れたコトを後悔し、3人組に翻意を促すために送った可能性もある。
だとすると、ルビィ自身が危険な目に遭い、身を賭して警告したと逝う線も残る。
僕的には、いつか(もう少し洗練された)生アクビ娘のカムバックを願うばかりだ。
強制送還の前日、ミユリさんの御屋敷は未来の売れっ子特撮監督の表敬を受ける。
「テリィ様と是非チェキを撮りたいと思うの人達です僕達は」
「え?野郎とのツーチェキは勘弁だな。落書きも出来ないし。なぁメイド長も一緒でいいかな?」
「おぉ!モチロンOKですの気持ちが溢れます。願ってもないと思うトコロの僕達」
言語は、歴史と共に変遷し独特の語彙や文法構造を持つ方言が派生する。
ブンバガバンは、もともとのタガログ語自体が激しくナマッてたそうだ。
だから、勉強中の日本語もオカシくなるw
誰が教えてるのか知らないが御苦労様だ←
常連達の陽気な冷やかしと笑いの中で、ブンバガバンは萌えポーズを決めチェキ撮影。
僕もミユリさんも、精一杯のヲタ芸や変顔で応酬しミユリさんの落書きタイムとなる。
「私達は、みなさんを誇りに思います」
彼女は、チェキに落書きしながら逝う。
「アキバは、世界中のヲタクが集まる街。色んな国のヲタクの、様々な風習や文化が今のアキバを作ってる。そして貴方達。世界中にいる貴方達1人1人こそが、明日のアキバを作るのだと思います」
ミユリさん、名スピーチだょ。
オイシいトコロ持ってくなぁw
「とにかく、元気で。また会おう。だから、サヨナラは逝わないょ」
「おぉ!テリィ様、宇宙戦艦ヤマト?サナダ工場長の声で再びお願いしーます…あ、最後に教えてくーださい。なぜ勇敢なトコロの貴方なのか?なぜテリィ様は、カルテルの殺し屋に、平気でスタンガン撃ち込める勇気の人、なのか?」
御屋敷のみんなの注目が集まる。
でも僕は黙って苦笑するだけだ。
彼女の名スピーチの後じゃ、ホントの理由なんて言えるハズがないだろう?
ホントは1度でいいからフェイザー銃を撃ってみたかったんだ、なんてさ。
おしまい
今回は、今やアキバの主役とも言えるインバウンドに敬意を表し、東南アジアの特撮作家3人組、彼等を追う国家警察やカルテルの殺し屋、外国人のメイドや特撮ヒロインなどを登場させました。
リサーチしたネタを全量投入する一方、筆致が重くなるのを防ぐため、コマメに場面転換を試みるようにしています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。